乗っているエレベータが急降下したとしたら…そんな不安を抱えて利用している人はまずいないでしょう。それはエレベータの事故やニュースを目にしたことがないから。私たちが手がけている仕事は、エレベータやエスカレータといった昇降機の安全を創ること。安心して利用していただき、その便利さを当たり前に感じてもらう。それが私たちがこの仕事を続けている一番の理由です。
最近では、将来なくなってしまう仕事があるとか。技術が進歩していくと便利になる一方、人々の生活の糧を脅かす。エレベータの世界も技術は日進月歩。でも安全に関しては、AIにも手出しできない聖域なのです。エレベータの技術が進歩すれば、私たちの技量や知識も進歩する。いわばいつまでも成長を続けれられる仕事。つまり一生涯、食べてゆける手に職なのです。
ご想像の通り、業務の中には高所作業もあります。だから高いところが苦手な人にはできない仕事と思われがち。ですが、実は平気な人よりも怖がるくらいの方が向いています。この仕事に大切な資質は危険を予見できる力。もちろん安全には幾重にも配慮した現場作業ですが、怖がれることも大切な能力なわけです。とは言ってますが絶叫マシンの方が現場より怖いと思います。
日本の昇降機(エレベーター&エスカレーターの総称)は約170万台。緊急を要する現場や土日にしか作業できない現場対応も正直なところあります。だからといって休み返上で仕事に打ち込んでほしいとは言いません。みんな家庭があり、外せないイベントや記念日がありますから。そんなときは遠慮なく、休みをとってください。特に家族行事は土日が中心ですからね。
メカニックとエンジニアの中間くらいの業務なので職人的な側面もあります。だから目で見て学び、身体で覚えることも少なくありません。だからと言って厳しい修行や特訓は一切ありませんし、みんな優しい人たちばかり。ですが、私たちには安全をつくるという責任があります。だから成長してもらうために叱ることはあります。大切なことはね。
自動車がガソリンから電気に変わっていくように、エレベータの世界も新しいテクノロジーや発想が用いられながら進化していくことでしょう。けれど、安全に対する考え方や概念は、今以上の考え方や取り組みで進歩していくことは間違いありません。そんな次代の安全を背負う人として、人々の生活に安心を届けられる人になっていただけませんか。